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なぜ、部活の走り込みは嫌われるのか 「走って根性を鍛えろ」の教えは正しいか
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    いつもご利用ありがとうございます。

    本日は、部活の走り込みについての記事がございましたので転載させていただきます。

    重要部分と思われる色付けは私が行いました。

    以下転載いたします。

     

    https://the-ans.jp/bukatsu/bukatsu-discussion/37823/

     

    連載「ニッポン部活考論」―元陸上トップ選手が語る「走り込み」の是非

     日本の部活動の在り方を考える「THE ANSWER」の連載「ニッポン部活考論」。今回のテーマは「なぜ、部活で走り込みは嫌われるのか」。あらゆる部活に共通する体力強化法でありながら、選手にとっては敬遠されてしまう練習の是非について、陸上のアテネ五輪1600メートルリレー4位の伊藤友広氏と元200メートル障害アジア最高記録保持者の秋本真吾氏に聞いた。

     

     スプリント指導のプロ組織「0.01」を主催する2人。伊藤氏は小学生世代のかけっこ指導を全国で展開し、秋本氏はプロ野球選手、サッカー日本代表選手など、トップアスリートの走りの指導を手掛ける。プロスプリントコーチとして、陸上界で脚光を浴びている「走りの専門家」から見た「部活の走り込み」の問題点とは――。

     

     野球、サッカー、バスケットボール……。屋外、屋内競技を問わず、日本の部活の練習に定着している「走り込み」。夏も、冬も、ヘトヘトになるまで体を追い込む。経験者なら誰しも、ひたすらにつらく、苦しく、忌まわしい記憶として脳裏に焼き付いているだろう。なぜ、部活において走り込みは嫌われるのか。

     

     中学時代はバスケットボール部に所属し、「体育館の周りをめちゃくちゃ走りました」という秋本氏は「『走りがつらい』という考え自体が問題だと思っています」と話し、陸上選手として率直な思いを明かす。

     

    秋本「走りは全身運動なので、当然、運動時間が長くなれば負荷が高まり、肉体的につらくはなります。でも、陸上選手は良い感覚を掴めば、走ることが楽しいし、疲れも感じにくいものなんです。それでも、同じスポーツをしている人に『つらい』と思われてしまう。指導者が走り込みをやると言うと選手は『えー』と落ち込み、じゃんけんに勝てば1本減らすなんて言ったら『わー』と喜ぶ。『走り=罰則』みたいな感じですよね。こちらは楽しいと思ってやっているのに、なんでなんだろうと思っていました」

     

    「なんとなく根性がつきそう」では選手のモチベーションにはつながらない

     走り込みが重視される部活の一つが、野球部だ。昨シーズンから阪神の臨時スプリントコーチを務め、野球の現場を見てきた秋本氏。「プロ野球選手はキャンプで朝から晩まで、ひたすらピッチング、バッティングをやる。それを反対に自分がやってみたら絶対に楽しくないし、それこそ罰則になると思いました」と立場を置き換え、走り込みが嫌われる原因について持論を語る。

     

    秋本「僕が野球をやって罰則に思うのは、どうやったら上手になるか分からないということ。目的が明確にはならない。野球部にとっての走り込みも一緒だと思います。走りを通じて自分がどうなるか分からないから、ただつらいとなってしまう。正しく走ることで速くなるし、効率的になって楽になるし……と指導者がしっかりと説明できたら、意識は変わるのではないかと思います」競技と直接的な関連性を感じにくいことで敬遠されると秋本氏は力説する。

     

    伊藤氏も同調し、“目的意識”の重要性を説く。

    伊藤「そもそも何のために走り込みをするか、ではないでしょうか。陸上選手は例えば、目標とするタイムを設定し、タイムを縮めるために理想の走りがあり、理想を実現するために様々な手段がある。その一つが走り込みです。野球部の子供たちにしてみれば『走り込みをして何につながるの?』と、みんな思ってしまう。目的にリンクしないと自分からやろうと思えないはずです」
     
     目的が見えない練習の原因は指導者にあることが多い

    伊藤「野球の走り込みは何につながるのか、コーチに聞いても答えられないことが多いのではないでしょうか。『足腰を鍛えるため』と漠然とした意見も聞きますが、そもそも『足腰』とは足と腰のどちらで、どの筋肉を使って、どんな能力が高まるのか。その結果、野球のどんな場面に生きるのか、という部分が明確ではありません。そうなってくると、選手が練習に対してコミットしづらくなります」

     

     走り込みの“大義”として挙がるのが、根性論だ。「いっぱい走るから、なんとなく根性がつきそう、足腰が鍛えられそうという、ふわっとした理屈が選手のモチベーションにつながっていかないのではないかと感じます」と伊藤氏。その上で「例えば、野球で求めているような“足腰を鍛える方法”は走り込みではないと思います」と指摘する。

     

    むやみな負荷で故障のリスクも…「走りの効率性が悪いと肉離れを起こしやすい」

    伊藤「自分も中学まで野球部だったので、振り返ると、なんで練習だけあんなにキツイのか、というのが野球。試合の方がすごく楽だなという……。個人的には野球は走り込みではなく、そもそもその動きにどういう特性があるかを考え、目的に合ったトレーニングを取り入れるべきではないかと思います。瞬発系のスポーツなので、長距離的な動きは要らないと思います。

     

     投手は特に9回を投げるスタミナを養うために走り込みをする文化がありますが、ピッチングは力を一瞬で発揮する動作を100回くらい繰り返す。それは、瞬発的な動作を連続して行うこと。でも、走り込みは緩い力の発揮を長時間行う動作で、力の出し方が異なります。ダッシュだったり、ウエイトトレーニングで重いものをガッと持ち上げたりした方が効果はあるはずです」

     

     こうしたトレーニングのミスマッチが生まれる理由について、伊藤氏は「そこまで指導者側の考えが至っていないのかなと感じます」と見る。

     

    一方、秋本氏はむやみに走らせ、体に負荷をかけることで故障のリスクを危惧する。

    秋本「サッカーはポジションによって1試合10キロ以上走るので、長い距離を走ることはわかります。走り込みと直結する可能性がイメージしやすい。一方で、走りの効率性が悪いと肉離れなどを起こしやすい。でも、指導者は『その部分の筋力が足りないから鍛えろ』という発想が多い。そもそもの走り方が悪かったら故障を繰り返してしまいますが、わからないままやってしまう。

     

     例えば、サッカーの試合中に足がつっても『アイツは根性があるから』とプレーを続けさせる指導者もいます。根性があるから何でもやれる、という文化をいい加減、変えないといけないのではないでしょうか。そういう感覚を持った中学、高校の指導者はかなり多いと感じています。『走って根性を鍛えろ、心を鍛えろ』が競技にどうつながるのかという疑問は感じます」

     

     では、どうすれば“無目的な走り込み”の文化は変わるのか。秋本氏は陸上選手がいい走りの技術を身につければ、「走っても疲れない」感覚になることを挙げた上で、こう語る。

     

    秋本「そういう走りの教育を小さい頃からしてあげることが必要だと思います。野球だから野球専門の人だけではなく、走りの専門家がいて、ウェートトレーニングの専門家がいて、という具合に正しい走りを伝えてあげる人がいると、『走り込み=つらい、キツイ』という概念はなくなると思います。しっかりとした走りができれば効率が良くなり、楽にすることはできます。

     

     燃費のいい車に乗っても、運転技術が荒かったらガソリンが減るようなもの。いい技術を手に入れて、いい走りができれば、当然、燃費が良くなってきます。短い距離からちょっとずつ伸ばしていくことが本当は理想ですが、いきなり100メートル何十本、何十キロ走と長い距離のメニューを出してしまうから、ただきついだけの走り込みという印象がついてしまいます」

     

    「俺がやってきた練習だから」という考えは本当に正しいのか

     よく用いられるのは、全力に近いスピードを維持しなければ切れないタイムを設定し、長い距離を走らせること。タイムを切れなければプラス1本を加える、といった具合だ。秋本氏はこの点についても疑問を呈す。

     

    秋本「そういう練習では1本で全力を出し切って疲れるだけ。でも、指導者は選手が疲れているところを見て満足してしまう。それでは、指導者のモチベーションが保たれているだけで、選手の試合をして勝ちたいモチベーションに全くつながっていかない。そういう指導者の元にあるのは『だって、俺がそうやってきたから』という考え。そこから変えなければいけないと思います」

     

     どの競技も基本は、その競技を経験した指導者だ。「自分がやってきた」という経験は、指導の上で説得力を持たせる一つの理由にはなる。しかし、「自分がやってきた」という経験は、本当に適切だったかを顧みることは少ない。

     

    秋本「だから“俺がやってきたいい練習”しか知らないことが起こり得る。いろんな最先端を学ばないと、同じことを繰り返して、指導にハマる選手、ハマらない選手が出てくる。そこが問題なのかなと思います」

     

     そこに、指導者としての資質が表れる。秋本氏は「本当にいい指導者は、いろんな選手を平均的に強くすること。それができるのは、選手個人に合ったメニューを出しているから」と水泳の平井伯昌氏、陸上の原晋氏らを引き合いに出して語った。

     

     最後に、伊藤氏は「そもそも走り込みって『そのスポーツに本当に必要ですか?』という話。そこから見直した方がいいと思います」と警鐘を鳴らし、より良い部活の文化に発展していくことを願った。

     

    伊藤「結局は指導者側の勉強不足というか、学び続ける意欲の有る無しに行きついてしまいます。走り込みに限らずただ無目的にやらせてしまったり、若いうちから筋トレをさせたりした方が指導者は楽が出来ます。また、深く考えてトレーニングを組み立てなくても、子供たちは身体の成長も手伝い自動的に伸びていってしまうこともあります。

     

    でも、本来のスポーツ指導の形はそうではないんじゃないか。背景には業務過多の教師が部活動指導の全てを担うことの限界という事実ももちろんあるはずです。いずれにしてももう一度、立ち止まって様々な角度から広い視野で考える必要があるのではないかと思っています」

     

     もちろん、走り込みのすべてが否定されるべきではない。しかし、選手の意欲を引き出すためには、指導者が従来の“当たり前”をもう一度、見直す必要があるだろう。

     

     

    フィジカルデザインは、スポーツ選手の痛みへの対応だけではなく、スポーツ選手のコンディションについても徹底的に研究しております。

    なお、スポーツ選手の痛み、コンディションについてはフィジカルデザインのサイトをご覧ください。

     

     ●スポーツの痛みになぜ悩むのか

     ●コンディションの考え方

     

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    | トレーニング | 01:11 | comments(0) | - |
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